現代人は睡眠が不足していると多くのメディアでたびたび話題になっています。
とある調査では、ヨーロッパの人々の平均睡眠時間は約100年前に比べ平均して1時間半ほど短くなっているというデータがあり、またここ日本においては、OECD加盟33か国の中で平均睡眠時間が最も短い(約7時間20分、加盟国全体の平均は約8時間半)というデータさえあります。
そんな国民病ともいえる寝不足ですが、
なぜ睡眠が重要なのか、睡眠不足の状態を続けていると身体にどんな悪影響があるのかを詳しく紹介します。
睡眠が重要な理由
睡眠には大きく分けて下の3つの役割があるとされています。
◇記憶を整理する
よく小さなときに「勉強したことは寝ることで記憶に定着する」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
睡眠には、日中学んだ新しい情報やスキルを脳の中で整理し、長期記憶に移行させる働きがあります。
つまり、十分な質と量の睡眠をとることは記憶の正しい形成や維持、学力の向上に必要不可欠なのです。
◇疲労を回復する
睡眠中、人間の身体は細胞を修復し、免疫システムを強化すると言われています。
筋肉の成長と修復が行われるだけでなく、脳の疲労回復も睡眠中に行われます。
睡眠が不足すると、情緒の不安定(自律神経のバランスの乱れ)やストレスの増加を引き起こすと言われています。
◇身体の健康的な成長を促す
睡眠の中でもいわゆるノンレム睡眠と言われる深い眠りの時には成長ホルモンが多く分泌され、身体の健康的な成長が促されます。
当然睡眠が不足すれば成長ホルモンの量が減少し、身体の成長に悪影響を与えると考えられています。
脳疲労の蓄積
脳疲労とは、脳の過度な使用やストレス、不十分な睡眠などにより脳が適切に機能しなくなる状態を指します。
睡眠が不足することで前述の通り身体への負担だけではなく脳への負担も蓄積し、以下のような症状が現れることがあります。
◇集中力の低下
普段は何事もなくできるはずの簡単な作業さえも難しく感じることがあります。
◇記憶力の低下
新しい情報を記憶する力や既存の情報を思い出す力が低下します。
◇判断力の低下
良い決定を下す能力が低下し、問題解決のために深く物事を考えることが難しくなります。
◇イライラ感や情緒不安定
自分の感情をコントロールすることが難しくなり、些細なことでイライラしたり、怒りやすくなります。
◇疲労感や眠気
全体的な疲労感や眠気を引き起こし、特に夕方や夜にかけてこれらの症状が強くなることがあります。
様々な重病のリスクに
睡眠不足が長期間続くと重病を招くことがあります。
◇心臓疾患
高血圧、心臓病、脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まることで起こります。
◇糖尿病
インスリン抵抗性(体の細胞がインスリンの効果に反応しづらくなる状態)を引き起こす可能性があり、糖尿病のリスクを高めます。
◇肥満
睡眠不足は食欲を制御するホルモンであるレプチンとグレリンのバランスを崩し、適切な食事の量が自分自身で判断できなくなるリスクがあります。結果として肥満のリスクが増加します。
◇精神疾患
長期的な睡眠不足は、うつ病、不安障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)などの精神疾患のリスクを高める可能性があります。
◇がん
継続的な睡眠不足は乳がん、大腸がん、前立腺がんなどのリスクを高めるとすでに一部の研究で示されています。
いかがでしたでしょうか。
ただ眠くなってしまうだけではなく、様々な健康リスクにつながる睡眠不足。
忙しい時こそ、睡眠時間を安易に削るのではなく規則的な生活習慣を心がけましょう。